情報整理ツールObsidianの紹介

IT業界に限らず、普段PCを使って作業している方はメモを取ったり、情報をまとめるためのツールを何かしら使っている方が多いかと思います。
私の場合、2年ほど前からObsidianというツールを愛用しています。今回はObsidianの魅力について紹介します。

Obsidian - Sharpen your thinking

The free and flexible app for your private thoughts.

https://obsidian.md

Obsidianとは

詳細な情報は公式サイトやWikipediaなどを参照ください。

ざっくり言うと、Markdown専用のエディタ、及び情報整理用ツールです。ファイル単位で簡単に相互リンクを付けたりタグを付けたりすることができます。

Notionとの使い分け

Obsidianに出会う前は、情報を蓄積・整理するツールとして主にNotionを使用していました。

あなたのニーズを叶えるAIワークスペース。| Notion (ノーション)

日々の仕事を一つのスペースにまとめるツール。オールインワンの柔軟なワークスペースで、検索、ライティング、議事録作成などのAIツールが使えます。

https://www.notion.com/ja

Notionは使いやすい上にできることが多く、汎用性も高くで非常に便利です。そのため、今でも目的によってはNotionを使うことも多いです。私の場合、チーム間で情報共有したいときや、複数人で共同編集したい資料作成ではNotionを使うことが多いです。また、複数のデバイスで情報を共有したい場合(PCとスマホでの情報共有、WindowsとMacでの情報共有など)にもNotionを使います。

一方で、他人には共有しない、自分用のメモや資料の作成が目的で、かつローカルのPCだけに情報が閉じられていても問題ないような情報の整理は主にObsidianを使っています。

Obsidianの魅力

Markdownの書き心地が抜群

私がObsidianを使う一番の理由は、Markdownの書き心地が他のツールに比べてダントツで良いと感じるからです。

ソフトウェアの開発に関わる方であれば、資料を作ったりメモ取る際にMarkdown記法を使う人も多いことかと思います。Markdown記法は今では様々なツールやサービスでサポートされており、VS Codeのような開発用エディタやNotionなどのツールもMarkdownで書くことは可能です。

ただ、ObsidianはMarkdownに特化したエディタというだけあって、他の開発用エディタやNotionと比較しても非常にMarkdownの書きやすいです。
「書き心地」というのは言葉ではなかなか表現がしにくく、使ってみれば分かる、という感じです。
あくまでも個人の感覚なので、人によっては他のツールの方が書きやすいと感じる方もいるかと思いますが、日ごろからMarkdownを書く機会が多いけれど、Obsidianを使ったことがないという方は、ぜひ一度使ってみることをお勧めします。

カレンダー機能が便利

1日のほとんどをPCで作業している方は、日単位でメモを分ける人も多いかと思います。私自身、メモを取ったり情報を整理する際は日単位で区切って整理することが多いです。

  • 1日やること(やりたいこと)のTODOリスト
  • その日作業の中での学びや作業ログ
  • 打ち合わせのメモや議事録
  • 報告書類系の下書き

私の場合、上記にあるような情報を日単位でファイルを作成して整理していくことが多いです。

メモ帳やVS Codeなどのエディタを使ってメモを作成する場合は、日ごとに新しいファイルを作成するし、日付でファイルを入力する必要があります。
Notionの場合はカレンダービューを使うことで日単位での情報整理やしやすくなりますが、毎日新しくページを作成する必要があり、それが個人的に若干手間に感じたりします。

Obsidianは、ツールを起動するとサイドメニューの一番上にカレンダーマークがあり、このマークをクリックすることでその日の日付がファイル名になるメモが自動的に作成されます。
この機能があることで、日単位で情報を整理することのハードルがかなり低くなります。
人によってはそれほど重要な機能には感じないかもしれないですが、日ごとにメモを作成する習慣がある人にとっては、地味に便利な機能で、私はこの機能を重宝しています。

タグをつけるという発想

Obsidianでは、メモはファイル単位になります。
そして、ファイルに対して好きなだけタグをつけることができます。タグをつけると以下のようになります。

情報(ファイル)に対してタグ付けしておくことで、タグによる検索やタグの数を集計したりすることが可能になります。

このタグを付けるという発想が、個人的には画期的な発想だと思いました。
タグという概念自体は、自体はSNSなどで情報発信する際に付けるものとして一般的になっており、特に目新しいものではありませんが、自分自身の整理用のメモに対してこのタグをつけられると非常に便利だと感じています。

なぜタグが便利かというと、タグがあることによってフォルダ構成を意識する必要がなくなるからです。

階層構造の問題点

一般的にファイルで情報を管理する場合、カテゴリ単位でフォルダを作り、ファイルをフォルダに振り分けることで情報を整理します。例えば、Windowsの場合デフォルトでビデオ、ミュージック、ピクチャ、ドキュメント、のようにファイルの種類単位でのフォルダが用意されていたりします。

そして、1つのフォルダに対してファイル量が多くなった場合、フォルダを入れ子にして階層構造にすることで情報を整理していきます。入れ子構造にできるフォルダの概念は便利ですが、内容によってはどのカテゴリに分類すべきか判断が難しい場合があります。そして、どこに格納すべきか迷う情報が増えると、結果として求めているファイルを探すのが困難になってしまいます。
Notionはファイルという単位を意識しなくても良いのが強みですが、階層構造でページを作成するので、情報を整理する際はカテゴリ分けを意識する必要がある点はフォルダによる整理と同じ問題を抱えます。

一方で情報に対してタグをつけて整理しておけば、後から情報を探したいときにタグで探すことができるので、フォルダ構成を気にする必要がありません。
(一応Obsidianでもフォルダを分けて整理することはできますが、タグがあるおかげでカテゴリ分けをきっちり行う必要性があまりないと感じています。)

親クラスの継承か、インターフェースの実装か

この部分は、この記事を書きながらふと思ったこと。(少し話が逸れます。)
階層構造で分けるか、タグをつけるか、という違いは、オブジェクト指向でいうところの親クラスの継承かインターフェースの実装かの違いに似ている気がします。

言語にもよりますが、基本的に多くのオブジェクト指向言語では多重継承は禁止されており、1つの親から継承することしかできません。一方、インターフェースであれば複数の実装が可能です。継承は1つの親からしかできないという制約があるため、実際の開発ではインターフェースの方が便利に使えることが多いです。
ファイルも、基本的に1つのフォルダにしか格納することができない(リンクを作れば別ですが)です。この制約はオブジェクト指向における継承と似ています。

その他の機能

Obsidianは他にも色々な機能があります。
ファイルごとに相互リンクを簡単に作ることができ、相互リンクのグラフを見れる機能があります。

また、拡張機能をインストールすることでカスタマイズしていくことも可能です。

ただ、この辺りは私自身便利に使いこなせている自信がないので、詳細は割愛します。気になる方は使いながら色々調べて試してみてください。

AIとの相性

生成AIを使用する際、テキストデータはAIとの相性良いです。また、生成AIに対する指示(プロンプト)はMarkdownで書くことが多いです。

Obsidianで作成される情報は実態がすべてテキストデータ(拡張子.mdのMarkdownファイル)なので、その点で生成AIとの相性が良いです。AIエディタであるCursorとの連携や、最近だとGemini CLIとの連携についてまとめられた記事をよく見かけます。

Obsidianで情報を整理することに慣れておくと、結果的にAIと連携したい場合に有利に働くこともあるかもしれません。

バックアップと同期に関する補足

Obsidianは基本的にローカルで閉じた環境での情報整理として使うのに適していますが、バックアップを取ったり、複数のデバイスで共有したい場合もあるかと思います。そこで簡単に補足しておきます。

有料ライセンス

まず、Obsidianは基本的に無料で使うことができますが、有料のライセンスもあります。有料のライセンスがあれば、複数のデバイスで同期するための機能が使用可能になり、PCとスマホ間で同期することもできるようになります。

スマホでも入力して、異なるデバイス間で同期を取りたいという方は検討してみても良いかと思います。

フォルダのバックアップ

Obsidianのツール上から見える情報の実態は全てMarkdownファイルとしてローカルに保存されています。そのため、単にバックアップを取っておきたいだけあれば、Obsidianのデータが格納されているフォルダごとコピーすればバックアップが取れます。

GitHubとの連携

Obsidianは、情報が全てテキストファイルとして管理されているため、Gitとも相性が良いです。Obsidianのデータが格納されているフォルダにGitリポジトリを作成し、GitHubなどのリモートリポジトリと連携することで、バージョン管理しながらクラウドにバックアップしておくことも可能です。
Gitの拡張機能もあり、定期的に自動コミット・プッシュしてくれるように設定しすることも可能です。GitHubのリポジトリにデータをプッシュしておくことで、間接的に複数の端末で情報を共有することも可能になります。

まとめ

  • ObsidianはMarkdownエディタ
  • Markdownの書き心地が非常に良い
  • 日単位の情報整理がしやすい
  • タグによる情報整理ができる
  • 他にも機能多数
  • GitやGitHubの設定をしておくとより便利