計画との向き合い方
皆さんは「計画」という言葉とどう向き合っているでしょうか。
特に深く考えたことはないという方もいるかもしれません。私は、以前まで「計画」という言葉が苦手でした。
計画を立てるのも、計画に沿った作業をするのも苦手で、計画なんていらないのでは?と思う時期もありました。
しかし、計画がそもそも何のためにあるものかを知ることで、計画という言葉に対する苦手意識が徐々に減っていきました。
この記事では、そんな「計画」を深掘りしていきます。
計画は何のために作るもの?
昔、とある仕事をしているとき、上司から「計画を作れ」と言われました。その後、ざっくりとした計画を作って上司に見せましたが、その際、私は上司に対して「計画を作ってもどうせその通りにならないです」と言ってしまいました(生意気)。するとその上司から、「だから計画を作るんだよ!」と言われました。
正直、この頃は、いったい何を言っているんだろうと思い、その言葉の意味があまりピンと来ていませんでした。計画通りにならないことが分かっているのなら、計画を作る必要はないのでは?と。結局、その時はなぜ計画を作らないといけないのかはあやふやなままでした。
しかし、それから時間が経ち、アジャイル開発に関する書籍を読んだり、色々な経験を積む中で、少しずつ計画という言葉の意味が分かるようになってきました。
「いかなる作戦計画も、敵の主力との最初の接触を超えて確実性を保つことはできない」
ヘルムート・フォン・モルトケ
これは、ドイツの軍人、陸軍元帥ヘルムート・グラフ・フォン・モルトケの言葉の日本語訳です。「敵に遭遇すれば計画は必ず変わる」「計画することがすべてだ。立てた計画はどうでもいい。」などの言葉も残しています。
「Plans are worthless, but planning is everything.(計画そのものには価値がないが、計画することはすべてである)」
ドワイト・D・アイゼンハワー
こちらは、アメリカ合衆国の第34代大統領ドワイト・アイゼンハワーの言葉です。
軍や国家のような大きな組織を率いた2人が、計画について同じようなことを述べています。これらの言葉を聞いたとき、なるほど、と思いました。
私はこれまで、計画はゴールに向かうための地図のようなもので、計画がある以上はそれに沿って進めることが大事なのだと思っていました。だからこそ、作業を始める前に正確性の高い計画を作る必要がある。しかし、そのような正確な計画を作るのはとても難しい。だから、計画という言葉に苦手意識があったし、計画を立てるポジションは向いていないのだろうと思っていました。
しかし、実際には正確な計画を作ろうとすること自体が間違っていたのかもしれません。2人の言葉が伝えているのは、最初に立てた計画をそのまま守り続けることよりも、計画を立てる過程そのものが重要だということなのだと思います。
計画を一度作って、それを守り続けることが重要なのではありません。状況に合わせて何度も計画し直すことに意味があります。
では、計画は何を得るために作るのでしょうか。
それはおそらく、全体像と現在地を確認し、不確実な部分を発見するためでしょう。
現在地とは、必要な作業のうち何が終わっていて、何が終わっていないのかという状況です。また、計画を立てることで、何が分かっていて何が分かっていないのかという、不確実な部分も見えてきます。
ソフトウェア開発の仕事は、不確実性の高い仕事です。
どの作業にどのくらい時間がかかるのか、そもそも実現できるのかどうか、それらはやってみなければ分からないことも多いです。そのような状況で、「この計画書に沿って進めれば何事もなく完成する」ような完璧な計画を立てることはほぼ不可能です。
しかし、計画を立てなければ、不確実な要素がどのくらいあるのかすら分かりません。計画を立て、何が分かっていて何が分からないかを把握することで、次に取り掛かるべき作業を判断しやすくなります。
私はこれまで、「正確な計画を立てられない」「計画通りに作業を進められない」という理由から、計画に苦手意識を持っていました。しかし、不確実性の高い仕事では、そもそも最初から正確な計画を立てること自体が難しいものです。重要なのは、計画通りに進むことではなく、計画する過程で全体像や現在地を把握し、不確実な部分を見つけることなのだと思います。計画をそういう風にとらえると、計画に対する苦手意識が少し薄まります。
計画は一度作って終わりではない
繰り返しになりますが、一度作った計画をそのまま守り続けることよりも、状況に合わせて計画を見直していくことの方が重要です。
そう考えると、「計画づくり」は、プロジェクトの中で何度も行う必要があることが分かります。プロジェクトの規模が大きく、不確実な要素が多ければ多いほど、プロジェクト開始時点で作られた計画は現実との乖離が大きくなります。
しかし、プロジェクトを進めながら定期的に新しい計画を作っていくと、不確実な要素だった部分が明らかになっていき、全体像がより鮮明に分かるようになります。そして、計画そのものの精度が上がっていきます。
「リスケ」という言葉にはネガティブな印象がありますが、計画を見直すこと自体は、本来ネガティブなことではありません。むしろ、新しく分かったことを計画に反映していくことは、不確実性の高いプロジェクトを進めるうえで自然な行為なのだと思います。
段取りを良くするための計画
ここまでの話は主に、ソフトウェア開発プロジェクトのような、不確実性の高い仕事における計画の話でした。
では、不確実性が少なく、予測がしやすい作業について、計画を作ることは大事なのでしょうか。
結論から言うと、予測がしやすい作業においても、計画を立てることは大事です。なぜなら、その方が段取り良く作業に取り掛かることができるからです。
休日の過ごし方
例えば、休日に以下の予定があるとします。
- 髪を切りたい
- マッサージに行きたい
- 映画を観たい
- 買い物をしたい
なかなか充実した一日ですね。このような予定の場合、1つ1つの予定に対してかかる時間はある程度予測ができます。また、それぞれどこに行けばよいのか、その場所までの移動にどのくらい時間がかかるのかも、ある程度予測できます。
それらの情報を踏まえて計画を立てることで、何時から、どの順番で、どこに行けば効率が良いのかを考えることができ、時間を有効活用した1日を過ごすことができるでしょう。
資格取得に向けた学習
続いては、資格取得に向けた学習について考えます。
資格試験の場合、試験にもよりますが、試験日はあらかじめ決まっており、そこで出題される範囲もある程度事前に分かることがほとんどです。実際の試験でどんな問題が出るかは当日になるまで分かりませんが、ソフトウェア開発と比較すると、ゴールや期限、必要な学習範囲が比較的明確です。
このような試験の場合、試験日から逆算して、いつまでに何を学習する必要があるかについて計画を立てることで、資格取得に向けた効率的な学習ができるようになります。
休日の過ごし方にせよ、資格取得にせよ、不確実性が低く、やることが明確な取り組みに関しては、ゴールから逆算して計画を立てることで段取り良く行動することができるようになります。
段取り力とは、逆算して計画を立てる力と言い換えることもできるでしょう。
まとめ
- 不確実性が高いなら「不確実性を減らすために計画する」。
- 不確実性が低いなら「段取りを良くするために計画する」。
