生成AIのビジネス活用(初心者向け)
はじめに
生成AIとは、人工知能(AI)の一種で、テキスト・画像・音声・動画など様々なコンテンツを新たに生み出すことができる技術です。
従来のAIと明確に違う点として、AI自体が新しいコンテンツを生成できることが挙げられます。
従来のAIは、学習済みのデータをもとに回答を出力するのに対し、
生成AIは、これまでに学習したデータのパターンを分析・活用し、新しいコンテンツを生成します。
現場業務でも生成AIの導入が少しずつ進み、開発の現場は大きな転換期を迎えています。
この流れに乗り遅れないためには、私たちエンジニアが「生成AIをどのようにシステム開発へ活用していくのか」を主体的に考えることが重要です。
そこで本記事では、生成AI活用の基礎と背景をまず押さえる「導入編」とし、
今後はビジネスの現場で役立つ具体的な活用方法を順次紹介していきます。
生成AIとして有名なものでは「ChatGPT」、「Claude」、「Gemini」、「Microsoft Copilot」などがあります。
その中でも「ChatGPT」は公開から約2か月で月間アクティブユーザーが1億人に達したと報じられ、史上最速規模の成長を記録したとされています。
そんな初心者からビジネスユースまで幅広く選ばれている「ChatGPT」について今回は紹介します。
「ChatGPT」は、OpenAI社がリリースした自然言語処理モデルです。
人間のような自然な文章を生み出すことができ、利用者は専門知識が無くても生成AIとの会話形式の中から望んだ成果物を得ることができます。
「ChatGPT」の学習データは書籍約300万冊以上と言われており、その数は今も増え続けています。
ただ、そのような膨大なデータを学習している生成AIも完璧ではなく、時には『嘘の情報』を生み出してしまうことがあります(ハルシネーション)。
そこで、利用者は生成AIが生み出したコンテンツが正しいものなのかを出典などを確認し、冷静に見極める必要があります。
また、生成AIは利用者との対話内容を今後の改善に活かす場合があるため、個人情報などは「ChatGPT」に入力しないよう注意が必要です。
「ChatGPT」利用開始方法
「ChatGPT」の個人向けプランは3種類(無料版、Plus、Pro)あります。
無料版でもほとんどの機能は利用できますが、GPT-5などの高機能なモデル利用には一部制限があります。
下位モデルのGPT-5 miniであれば特に制限なく利用可能ですが、
処理速度や回答の深さ、複雑なコーディング、法律・医療・技術文書といった専門性の高いタスクでは、上位モデルに比べて性能が劣る場合があります。
| 無料版 | Plus | Pro | |
| 月額料金 | 無料 | 20ドル (約3,000円) | 200ドル (約30,000円) |
| 対象 | お試し | 画像生成・音声も使用 | 生成AIをフル活用 |
「ChatGPT」には”モデル”というAIエンジンが存在し、利用状況に応じてモデルを使い分けることができます。
以下は主要モデルの一覧です。
| モデル名 | 用途 | 無料版 | Plus | Pro |
| GPT-5 | 普段使い | 5時間ごとに10回 | 3時間ごとに160回 | 無制限 |
| GPT-5 Thinking | 推論 | 1日1回 | 1週200回 | 無制限 |
| GPT-5 mini | GPT-5 制限時 | 無制限 | 無制限 | – |
| GPT-5 Pro | 高精度 | 利用不可 | 利用不可 | 無制限 |
以下リンクの新規登録からメールアドレスを入力し、アカウントを作成することで無料版の利用が開始できます。
スマホ版とPC版があり、どちらも同じアカウントで利用が可能です。
生成AI活用時のポイント
生成AIを使いこなすためには、生成AIの能力を最大限に引き出す”プロンプト”の構成が重要です。
プロンプトとは生成AIに指示を与えるための文章(入力文)のことです。
プロンプトの構成ポイントは以下4点です。
- 「目的」:何のために出力するのかを明確にする。
- 「役割」:生成AIにどんな立場で答えてほしいかを指定する。
- 「条件・情報」:前提・対象・制約などを伝える。
- 「出力形式」:どんな形で出力してほしいかを指定する。
上記構成ポイントを満たしたうえで、具体的な数値での記述、生成AIとの対話での修正、「あなたは○○の専門家です。」等の役割を与えることで、
効果的に生成AIを利用することができます。
生成AIビジネス活用例
本項では仕事で活用できる生成AIの利用方法を4つ紹介します。
スクリーンショット活用
Excel等で複雑な書式設定、数式の使い方をしたいが上手くいかない場合、
具体的な症状、前提条件、該当箇所のスクリーンショットを添付することで、より的確なアドバイスを得ることができます。


テキストデータ抽出
「ChatGPT」では紙媒体の資料の写真、PDFファイルなどを添付し、「内容をテキスト化してください。」と指示することで、テキストデータとして抽出することができます。
PDFなどのサイズが大きい場合は、すべてを読み取れないことがあります。
その場合は、最初にページ数を指定し「ChatGPT」でPDFを分割出力することで対応できます。


内容要約
内容が難解な場合、読み込む時間がない場合などにも「ChatGPT」は有効です。
サイトのURLやPDFを添付し、「内容を要約してください。」と指示することで、要約したテキストを出力することができます。
「内容の理解を深めたいので専門知識がない人が読んでもわかりやすいように要約してください。」と指示することでより分かりやすい文章で要約することもできます。


内容校正
メールや書類用のテキストを書いた後に、
その文章とともに「あなたはプロの校閲者です。以下の文章から、誤字脱字、事実に基づいて内容の誤りを校正し、修正点を指摘してください。」
と指示することでミスを防止することができます。

会話相手のタイプ診断
営業相手のメール内容や実際の会話内容をChatGPTに読み込ませ、
「以下のお客さんのメール文から、相手のタイプを推測してください。そのタイプに合う営業トークを作ってほしいです。」と指示します。
そうすることで相手のタイプを分析し、相手に刺さる営業トークを提案してくれます。
以下に、実際に使用できるプロンプトの一例を紹介します。
ぜひ皆さんも実際に試しながら、自身の業務や用途に合わせて調整してみてください。
以下のお客さんからのメール文を分析して、
相手のタイプを推測した上で、IT商材に適した営業トークを作ってください。
【メール文】
(ここにメールを貼る)
【目的】
・次回商談で話す話法を最適化したい
・メールの“温度感”も知りたい(前向き / 中立 / 消極的)
・相手に刺さる話し方を知りたい
【出力してほしい内容】
① 相手の性格タイプ(以下から該当を選び、理由も)
- 論理・データ重視タイプ
- 慎重でリスク回避タイプ
- スピード・結論重視タイプ
- コスト重視タイプ
- 関係性・安心感重視タイプ
- 現場課題重視タイプ(IT運用/情シス系に多い)
- 戦略・ROI重視タイプ(役員層に多い)
② メールから読み取れる“温度感”
(前向き / 興味あり / 検討中 / 迷いあり / 消極的)
理由も書く。
③ 話す時に「刺さるポイント」
ITサービス営業の文脈で、
・技術的メリット
・ROI
・運用負荷削減
・セキュリティ
・コスト
など、どれが響きそうかも理由付きで。
④ 避けたほうがいい NG 話法
(例:専門用語を省略しすぎる、逆に技術語が多すぎる、結論が遅い 等)
⑤ 次回商談で使える最適営業トーク(相手タイプに最適化)
・最初の30秒トーク
・ヒアリング質問(3つ)
・提案の切り口(3つ)
・クロージングの言い方
を、IT営業として自然な流れで。
⑥ メール返信テンプレ(短め+丁寧めの2種類)
以上を簡潔に、実務で使える形で出力してください。
最後に
今回は「ChatGPT」にフォーカスして生成AIのビジネス活用について紹介しましたが、他にも日々多くの生成AIが誕生し、進化を続けています。
一言に生成AIと言ってもそれぞれ得意・不得意、力を入れている分野が異なるため、自分の目的に合った生成AIを使うことが重要です。
これまで私たち人間が手を動かし、頭を使って行ってきた多くの作業をAIが代替する時代になりました。
その結果、人間はいらなくなるのではないかと囁かれるようになっていますが、現在その生成AIもまだ完璧ではありません。
利用者である人間には、正しく内容を理解・精査し、的確に使いこなすスキルが必要です。
この記事が、生成AIをより深く理解し、そして上手に活用していくための第一歩となれば嬉しく思います。
参考文献
- 川上純子、林雄一郎 (2025)「ChatGPTでやってみたい100のこと」 株式会社宝島社
- 「ChatGPT・Gemini・Copilot頭がいい人の最新AIの使い方」 (2025) 株式会社晋遊舎
